君の由来
遠征の途中、目的の場所まではまだ遠く、力を温存するために、日の高いうちから騎士団はテントを張った。
焚き木を集め、団の陣取った場所まで戻ってくると、団員数人と団長と弟子がなにやら話している。
おもむろに、レオが仲間の細いレイピアを手に取り、きりり、と構える。
女の団員が、きゃあ、と黄色い悲鳴を上げる。
遠めに見ても、中々様になっているのがわかった。
さくさくと草を踏みしめ、焚き木を持ったまま集団に近づき、声を掛ける。
「何してるんですか」
「おかえり、フリー。今さ、皆が違う職業だったらどうだろうなって話してたんだ」
「レオは、騎士が似合いそうねって言ってたの」
柔らかな物腰の神官が付け加える。
レオは、少し悲しそうな目をして、言った。
「母親が、聖騎士だったんだ」
その告白に、それでそんなに綺麗な金髪なんだな、と無意識に呟く。
にこり、と笑いかけると、レオが顔を真っ赤に染めてレイピアを突きつけてきた。
「そういう恥ずかしいことは女に言えよっ!」