対等




そよそよと風が吹く中、一行は休憩を取っていた。そんな中、スパーダは音を頼りに小川へと足を向けた。あんまり遠くへは行かないでね、とアンジュの声が聞こえた。

目当ての小川はあまり遠くなく、愛用の帽子を草の上に置き、グローブを外して、水を掬った。
思ったとおり、水は、きん、と冷えていて気持ちいい。掬った水をそのまま持ち上げて、顔を洗う。

「イナンナは、デュランダルのことが羨ましかった」

声に驚いて振り向くと、イリアが居た。イリアは、スパーダの驚いた顔に満足したように、意地の悪そうな笑みを少し浮かべて、彼の隣に座った。
「何だよ、それ」
「そのまんま。イナンナは羨ましかった、妬む位に」
言いながら、イリアは靴を脱ぎ、小川に足を浸けた。
「デュランダルとアスラは、ずっと一緒だった。イナンナとアスラが一緒に居る時間よりも、ずっと。イナンナがどうやっても一緒に居られない戦場でも、一緒だった。それが羨ましかったの」
「けど、デュランダルは、どうあがいても武器だった。イナンナみたいに、落ち込むアスラを抱きしめてやることも出来なけりゃ、アスラの温もりを感じることも出来なかった。デュランダルだって、イナンナを羨んでたと思う」

「でも、今は違う。一緒ね」

「そうだな」


(手加減なんて出来ないから!)








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